魔窟/アングラ少女
立つ
妖しみの想念がまくしたてる彼方の岬へ
湯あがりの熱気をふりまく小人だらけの雑踏がうたう
馬蹄の枠に膨らんだ果実の匂いが鼻腔をくすぐる
どの一つも名のしれぬ菱形の重みで捻れていく
花嫁をあわれむ姥がそれらを?ぐ
数式の及ばない極彩色の風景に見蕩れながら父は痙攣する
蓑男を誘惑する母
彼の咥える煙草をひっこぬいて産卵する水辺にむかう
囁きかける常緑の皿の上で吐瀉物を飲みこめない嬰児
言葉の鳴くまで待機する
やがて憔悴し
黒煙にむせる無重力の間隙を埋めるべく罫を引く
まもなく新しい脳髄が伝達の回路に装填され
一季目の夏は始動状態に戻される
もはや人類の呼吸運動の味わい
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