詩人の話、他/プル式
列車の様な
敷かれた道を進む美しい塊になる
窓には冬から帰った命が開いている
線路沿いには柔らかな風が吹く
誰もがこんな風に生きている
だけどもしかしたら
風がざわめく
開き始めた蕾は再び息を潜め陽射を求める
身を焦がす程に強い陽射を求める
ギラリと白い線路のその
二本の水の煌めきにも似た檻に囚われながら
安らかに眠り夢を見る
ここに居ない自分
夢じゃない自分
味方しか居ない自分
味方が居ない自分
今じゃない自分
過去に居た筈の
暖かな電車の窓に
うたた寝をしながら夢を見た
キラキラと輝く橡が流れ
優しい風が葉を揺らしている
カタンカ
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