肉−Born−/影山影司
 
れ、おかげで私は今まで空腹を憶えたことが無い。ただ、何か物足りないような、収まりの悪い感覚に悩まされている。

 食う、寝る、交わるは人の根本の欲求だ。血液の中には私の精神をまろやかにすり減らす。薬物でも入っているのか、私の精神は激烈な絶望だとか、厭世観だとかいったものを感じたりはしない。ただ、日々、時間をもてあまし続けるような、そんな違和感ばかりが脳みその大部分を占めている。
 メランコリックな気分に任せて、綱をこのままひょいと首に巻いて引っ張ってしまえば、どれだけ楽になれるだろうか!
 私の精神、つまり脳みそと胴体は真っ二つに引き裂かれ、それと同時に私の命はこの世から引き剥がされるのだ
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