革命前夜/手乗川文鳥
 
がいる
「どの場所へ行っても紐を結ぶに適した所を探す
「あ、家なりだ。
「ねえ今貴方、私じゃなかった?私は今、貴方だったような気がしたの。

やがて朽ちていく退屈の花弁を貴方は粉々にするだろう、或いは窓辺で、或いはテーブルで。私はそれを懐かしく思う。永遠に過去へ向かう意識。この先私と貴方は二度と会わないだろう。つまりこの感傷の正体は懐古。

「吐息が漏れる度に私は絹糸を紡いで針を指に刺し小さな小さな血が人差し指に滲んで
「あの柱の向こうにね―ここに来たときからずっといるの―私がいるの―私はここにいて貴方と抱き合っているのに柱の向こうに私がいるの―知っている、本
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