「忘れられる」ものとしての「信頼」−「存在の彼方へ」を読んでみる15(2)/もぐもぐ
レヴィナスの議論の力の殆ど全ては、ここに込められているのではないかと私は思う。
ある意味かなり、定義的というか、理屈っぽい議論である。「意思」=「警戒」と考えれば、分かりやすいのかもしれない。私たちは四六時中警戒を続けていることができない。警戒していない間は、常に外部からの危険に晒されている。少なくともその間、私たちは、危険に晒されながらも、自分が傷を負わないことを信じて休息を取らざるを得ない。どんな人間でも、ある程度の時間は、外部が自分を傷つけることがない、という、無根拠な「信頼」の上に生活をしていかざるを得ない。
しかしその時間は記憶から失われる。例えば眠りの中で、膨大な時間を外部への
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