カンナ/結城 森士
 
の友達の懐かしい笑い声。
ボール遊びをする男の子たちを横目で追いかけながら、
噂話をする女の子たちの声。ボールがとんとんと
跳ねながら転がってきて、はしゃいでいる男の子たちの
甲高い笑い声。とんだり、はねたりしながら、こちら側へ
駆け寄ってくる。
その中に、沙織の名前をしきりに呼ぶ少年の声があった。
夕暮れの終わり、重く乾ききった意識の中、少年の声に耳を澄ませると、
そのまま目を閉じて、段々と薄く霞んでいく夜の闇の中へ沈んでいった。



2.

 繊細な白い壁が剥がれ落ち、どうしたわけか、そこから
 黒く塗りつぶされたガランドウの瞳が覗いているのだった 
 ガラン
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