件の話/影山影司
しょう
待ち合わせに遅れそうになったでしょう
幸せな気分が吹き飛んでしまったでしょう
しょうもない私のために、皆様がこのような目に遭ってしまう
また他所へ行かなくてはならないね
アァ今夜は何処で眠ろうか
どうやら彼の瞳は涙に潤んでいるようであったが
その涙は決して私の心を動かさなかった。
鼻水に似た体液が、たらんたらんと尾を引いて道に落ちる度、私の皮膚が粟立つのだ。可愛げなど欠片も無い。無理も無いあの風体では。もぞもぞと動くと彼の体が俄かに浮かび上がった。よくよく見ると、まるで葡萄園のように脂肪が垂れ下がった合間に、パイプのやうな棒が四つ突っ立ってた。四つん這い
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