あをの過程さんの時間論−「存在の彼方へ」を読んでみる12/もぐもぐ
 
は両腕の間から次第に零れ落ちていく。大人にもなると、かろうじて想像力の迂回路を通ることで、「あの出来事は自分に起こったことかもしれない」という可能性を身に引き受けることができるだけである。
 すなわち、誕生の直前の時点で、わたしたちはすべてを持っている。つまり生きることは、その持ち物をなくしていって、最終的にこれ以外ない、という一人の自分になることだとも言えるのである。・・・普通の考え方において、手に入れていくことが人生だと言えるならば、われわれはすべて手に入れてしまっている、というまさに最後の段階から、スタートしているとも言えるのである」

この解釈は、「可能性」というものを認める(多分、
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