あをの過程さんの時間論−「存在の彼方へ」を読んでみる12/もぐもぐ
的な観念としても理解できないわけではない。
本来の趣旨をかなり歪めてしまうかもしれないが、敢えて理解のためにやや乱暴に単純化してしまうと、「私」は「大人」になるのと引き換えに、「幼少」の頃の記憶を「喪失」するわけである。つまり、「幼少」としての私が「死」ぬことによって、「大人」としての私は「誕生」する。けれども、「喪失」された何かは、絶えず「ある種のノスタルジー」の形で回帰してくる。私はそれを取り戻そうとする。そしてそれを取り戻すことによって、「大人」としての私は「死ぬ」(これは順番としては逆かもしれない。「死ぬ」ことによって「取り戻す」のかもしれない。本文からは何れとも確定できない)。「死ぬ」
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