熱と遺産の日/水町綜助
 
色につややかな地肌だけを出してた。
 外側だけだ。土の中にすべてが埋まっていたのかもしれない。
 掘り起こしたら割れていないかもしれない。
 まあ割れていたんだが実際。
 割れてしまったちゃわんの内側はどこだ。
 もうご飯をよそえないんだからそれがどちらかわからないよ。


     *


 腹は立っていないけれど
 声を荒げてひとを罵った
 自分でもおどろくほど
 きたないことばたちが口をつく
 俺は怒っているらしかった
 殺してやるというようなことを言った
 もちろんうそだ
 太陽がさんさんとあかりをふりそそいで
 うつくしい木々の緑がまるでその色を道の
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