熱と遺産の日/水町綜助
 
道の上に投影するかのようにひかった
 晴れやかな昼下がりのことだ
 ただまるごと奪ってやりたくなった

 今日はからすが多い
 夜からは雨が降るみたい


     *


 ヘリテージヒルとかかれたスウェットシャツを着てたきみ
 そこにはなにがあるんだい?
 僕はその遺産という言葉に
 なにか憧れを抱いた
 朽ちた墓石が枯れた木と一緒にあって
 なにかしら約束事をしているみたいだ
 きみの毎日は退屈に満ちていて
 夜ごとにきみは町を徘徊していた
 僕たちの住んだ町の路地裏へ入り込んでは
 濡れた敷石の上を歩いて
 白い街灯が
 一軒のふてくされた店から
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