熱と遺産の日/水町綜助
まるい曲線も描いているようだ
花に空気がぬけていけば
歩道を走り抜けることはたのしい
夏の緑は不思議だ
強烈な日差しを掻き散らして
胸のなかをやくから
吐き気がこみ上げるくらい
気持ちを掻き回して
それだけだ
それでどうなるわけでもなくて
俺はどうしようもなくなって
だれかのじょうずな絶叫をひびかせる
胸郭いっぱいに
くうきを吸い
だれにもみられない場所で
安心する
転げ落ちそうなところを
抱き止められたみたいに
*
雨がひどい
大粒を路上にたたきつけ
黒く染まっ
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