「大胆」な「懐疑論」と異なった「リアリティー(現実)」−「存在の彼方へ」を読んでみる8/もぐもぐ
 
しての「懐疑論」の描写については適切であるように思われる。

「語られると同時に取り消される」。こういった微妙な表現については、現代の日本の文化はかなり進んでいると思う。例えば「現実なんてないよ。(あ、勿論冗談だけど)」と、一瞬本気をちらりと覗かせて、それを取り消す。「現実」に反するようなことについて、それを正面切って振りかざすことはない。いや、一瞬それを垣間見せて、しかし「現実」への従順さも装う。そうした微妙さを表現するために、実際数多くの文物が作られてきたと思う。

「現実なんてないよ。(あ、勿論冗談だけど)」によって意味されているのは、「真理」(=「現実」)に対する服従と裏切りである
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