「何故人を殺してはならないの?」−「存在の彼方へ」を読んでみる5/もぐもぐ
。たとえそれで自分が苛立つようなことがあっても、自分の意思に反するように感じられることがあっても、そうしてしまう。
あまり情緒的に捉えすぎると問題かもしれないが、レヴィナスは、こうした「捨て難さ」を「近さ」と呼んでいるのではないかと思う。(「近さ」という語に違和感があるなら、「身近さ」と置き換えて考えればよいだろうか。或いは「結びつき」とでも。)身近なもの。役に立つか立たないか、そうした冷徹な利害計算だけで割り切れない、何らかの、剰余。
「近さ」(身近さ、結びつき)。捨てられないこと。それこそが極限まで純化された「意味」である。「意味がある」というのは、「捨てられない」ことである。意味の中
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