『スキンレス』/山内緋呂子
 
その品物は、ほぼ未使用。
誰も傷ありで、難品で、使っても役に立たないものを知らずに買うだろう。
手にとったある人には、それでもいいという場合があるだろう。


いいかいいか緋呂子、お前は「要りません」と、返品出来るのだ


まだ、取り返しがつく。




お店でレシートを見せ、綺麗に私が包み直した品物の返品を求める。

「そちらは現品限りで、展示品でしたので、返品はお受け出来かねます」

自分で美しく包んだその返品予定の時計を、私は家まで持って帰る。

どれくらい長く、その品物と暮らしただろう






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