『スキンレス』/山内緋呂子
今朝、 あの人が遠くから運んで来てくれたプレゼントの紙袋を、私は
捨てる。
ごみ袋の中で、その袋は、いつもにも増して甘い匂いを発していた
ずっと捨てられ無かった紙袋
今日、
今日、
あたしは捨てる。
その甘い色と香りは何なのか。
またきっと、
「君の勘違いだ」と言われるだろう
分かっている
あたしの、愛が、その袋を甘く香って見せるのだろう
あたしは愚かだ
この紙袋に優しさが含まれているのは、彼の、
少しでも懺悔だと、
少しのあいだ、少しだけ本当にちょっぴり、私にあった、彼の
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