夜の空になる/結城 森士
 
くほかに何をすれば良いのかも分からない
どこに行けばいいのか分からないまま
早足で歩き続けた
「こんな所には居られない。一刻も早く何処かへ向かわなくては」
けれど何処へ向かえば良いのだろうか
外はこんなにも静かで白く眩しいのに
心は闇のような影が
今にもあたしの思考回路を覆いつくし
全てを奪い去ろうとしている

あたしは俯いて街を歩いた
ひたひた、ひた
きっとこんな擬音語が似合う
白線の内側を
行儀よく歩いた

あまりに短絡的に
外に出てきてしまったことが
急に怖くなって
単純なあたしは
馬鹿な自分を責めた
涙が出てくるのを
堪えようとして
目を擦ると
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