夜の空になる/結城 森士
の悪さを覚えた
幼稚園児の頃に感じていた
お昼休みの草木の匂いや
溢れる光
そんな温もりや安心感が
ほんのすぐ傍にあるような気がする
なのに、あたしは
失った 何か を感じないように
知り合いに会わないように
時間から逃げるように
早足で歩き続けた
閑静な住宅街からは
赤ん坊の声一つしなかった
全くの無言で、あたしを責める
無口なジュウタクガイがあたしに話しかけた
「こんなところで一体何をやっているんだ」
そうか、あたしには居るべき場所も無いんだ
後ろを振り返れば、蒼ざめた空
何処まで行っても
その後ろめたさから、逃れることは出来ない
だけど、歩くほ
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