「水槽」/ソティロ
いた理性と
穏やかさの記憶がとどまらせた
他の方法で克服できないものかと思い
(それはごまかしだとしてもそのときは構わなかった)
部屋の中をうろうろしていた
そうするしかなかったのだと思う
ときどき恐る恐る水槽を見やっては
恐怖はふくらみ
つまり近づいていることをひしひしと感じた
14.
クローゼットに隠れて
すべてを投げ出そうという
ばかな考えに囚われかけたとき
運良く閃きがうまれた
水彩絵の具を探し出して
もとの場所へ戻った
皿にビリジアンと
あお、
それから白をわずかにあけて
たっぷりの水で混ぜ合わせた
最後のチャンスだった
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