街の鳥葬/しろう
 
者の肖像写真のように目に映る。
タフに生き抜くために視線の行方を無くしてしまったようだ。
それが、俺の顔でもあるのだろう。

二ヶ月前、クスリで仕事を失った。
ライトブルーの錠剤は俺を癒やしてくれるわけじゃないと知っても、頼れるものは他にはなかった。
夏が近づいているのを日々感じる。
それでも夜の風は俺の体温を容赦なく奪ってゆく。
毎日十二時間の肉体労働で手にし続けた金も、街に全て奪われた。
黒服の男達の呼び込みの嬌声が耳に障る。いったい何のためにならあんな声が出せるのだろう。

俺は誰かのために歌いたくなった
存在を許すためだけの歌を
夜に許されない人々のための歌を

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