御洒落童子(山田風)/山田せばすちゃん
 
けだ。見つめられた彼女は見る見るうちに赤くなり、下を向いてもじもじし始めた。その日の放課後、二人は初めて一緒に学校を出て、喫茶店へお茶を飲みに出かけたのだった。

およそ、僕にとって詩とはその程度のものだった。だから、詩を書くために恋をしてきたなどとは口が裂けても言えない。しかし、今僕が詩を書こうとしていることだけは確かだ。十八でこの街を離れ、かなりいい加減な暮らしを続けていたその間にも、いくつか、僕は詩らしい物を書いては、そっと、その原稿用紙の束を封筒に入れてしまっていた。(その封筒の表に、大きく「晩年」と書いて柳ごうりにしまい込み、後は女と同棲して自堕落な生活しながら地下運動にでも片足
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