どうしようもない春がくるからピンク/水町綜助
衛のカップだった
つゆも三分の1飲まれ
葱を浮かべて冷えきった
立派にステレオタイプな大人になったどん兵衛のカップだった
早く家に帰りな
あのオレンジ色の街灯をひとつひとつ
たどって行けばあんたの家だよ
ひとつに着いたら
またひとつ先の街灯まで
歩きなよ
すぐだよ
光をみながらゆっくり足を動かせばいいんだ
オレンジきれいだろ
かすんできれいに見えるだろ
ぼんやりさ
夜に
歩けよ
あるけるよ
朝までには
つくから
やさしくつぶやいて
そいつはめりめりとたばこを吸い
横なぎにどん兵衛を川にたたき込んだ
火の粉が散った
そんな現実だった
僕た
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