どうしようもない春がくるからピンク/水町綜助
を焼いて食べるか
バターを生のまま塗って食べてしまうか
どちらに生活のテンポが
小気味よく弾ける?
昼下がりに冷めた
飲まれることない珈琲に
波紋を広げる
人差し指のリズムのように
東京を歩く
昼下がり
春の未明
電線が切る
張り付けたような青空に
ピンクに塗った手のひらで
指紋をつけて行きたいよ
それを四角く切り取って
左手に興味のないそぶりでつまんで
見せに行きたい
黄色い電車の路線づたいにさ
口笛の吹けない僕は
歯笛を吹いているからさ
きれいに音階を踏めないんだ
歩くスピードだけは早いんだけど
いつかみた連続写真をイメージしてるから
走るよ
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