詩猫の独白/しろう
 

それからさ。
俺が言葉を綴るようになったのは。
少しは生きる慰みになるかと思って、俺もあの小説みたいにして、俺が感じることを文で書いてみようと思ったのさ。

初めの頃は、鉛筆をなんとか無理矢理指の間に挟んで書いていた。正直指が痛かったし、毛が生えているせいで鉛筆が滑り落ちることが多かった。そのため、字も上手く書けないことがほとんどで何度も何度も同じ文字を書き直し、本来は慰みであるはずの文章を書くということが、肉体的かつ精神的苦痛でもあった。
だけど時代は進むもので、今はパソコンという便利なものがある。慣れてくればキーボードを打つのは、鉛筆で書くよりもはるかに簡単なことだ。

ここら
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