詩猫の独白/しろう
も少しは知られている事だと思うが、猫という種族は長く生きているとしっぽが先の方から二股に分かれてくる。
俺はすっかり根本まで二股のしっぽになってしまったが、実はそれで得したことはあまり無い。しっぽが増えてバランス感覚が良くなったということもない。もともとバランス感覚には優れていた自信があるしな。
だからひとえに長生きしているとは言っても、とくに何かを成したという記憶も全くない。けれども言っておくと、俺はこの国ではたぶん一番有名な猫だろうと自負している。
少しだけ例をあげる。
実は、お魚を失敬してサザエさんに裸足で追いかけられたのは俺だ。
ちょっとアレは怖かったな。とくに髪型が。
も
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