メール/パッサカリア/チアーヌ
まう。ドスの効いた声だったので一瞬ひるんだが、良く見るとそうそう悪くもなさそうな、ごく普通の、高校生くらいの少年だ。
言葉遣いがよくないが、この年齢じゃこんなもんだろう。
てっきり女でも連れ込んでいて機嫌が悪いのかと思いきや、机の上にはパソコンをはじめ、参考書やノートが広げられている。
どうも勉強中だったようだ。
「いや、ほんとすみません」
平身低頭で謝りながら、俺はふと、この少年には話をしても良いような気がした。どうせ暇に任せてここまで来たんだし、暇つぶしがてら、この少年にここに来た経緯を語ってみようか。
俺は物好きにも、そんな風に思った。
「佐藤なんて、この階にはいない
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