聖性、冬、機械/ケンディ
 
吐き気と-苦痛に満ちた-彼の-絶叫の-中に-私-以外の-誰が-完全な-静寂を-聞き取ることが-できる-か。彼の崇高な儀式において彼の眼球は生け贄だった。彼の声は神聖さに満ち溢れたエネルギーの発散だった。熱狂的忘我に陥ったのは彼と私だった。何か至高の力の波に従いながら、私はこの呪文を心で唱え続けた。吐き気と-苦痛に満ちた…。とりわけ「私-以外の-誰が」の部分を私はひそかに強く心の中で唱えた。彼を専有したかったのだ。これが私のひそやかな愛だった。私だけだ、彼の絶叫を崇高な儀式たら占めるのは、と。
 ナイフで右目の眼球を抉り出していたとき、彼はベッドの上に座っていた。血はシーツに滴り、染み渡り、正面の
[次のページ]
戻る   Point(2)