この世界を離れて ★/atsuchan69
の町まではかなり遠いが、とちゅうの宿場には夜までに着かないといけない」
思い出したかのようにふりむいてそう言う。「山ごえが夜になるとぶっそうだからな!」
「あいよ」
母ちゃんは、つよく精いっぱいにこたえた。
そして休むことなく歩きつづけ、宿についたのは陽のしずむころだった。
「俺は酒場にゆくが、おまえも来るか?」
なんだかしらないが、父ちゃんは僕にきいた。
「いっておいで。母ちゃんは楽器の番をしとくよ」
母ちゃんもそういうので僕はしたがった。
父ちゃんは居酒屋の席について酒を注文すると、
「はらがへってるだろ、なんでも好きなもんをたのめ」
と、僕
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