この世界を離れて ★/atsuchan69
 
でやの?」
「ずっとここやったら、つまらん」
「けど、こんなくらし続けても、ちゃんとしたオマンマ食わな、きっといつか死んでしまうで」
「ほな母ちゃんもずっとここで暮らすん?」
「それはありえへんけど‥‥」
「あかんで。母ちゃんと離ればなれになりとうないわ」
「さよか」
 と、母ちゃんは言った。


「あそこの村はな、わたいの生まれそだった所や」
 村をだいぶすぎたころ、母ちゃんがぽつんとそう言った。あてのない道の両がわには、ただ土の畑がひろがっていた。
 父ちゃんはリュックを背おって、もうかなり先を歩いている。両手には革のかばんと黒いバイオリンケースがあった。
「つぎの町
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