マニ/ねなぎ
 
道がだらだらと続く
寂れた漁村
歩き出すと
魚と潮の湿気の臭いが
纏わりつくようにべとつく

波が変換され伝わる

ふと見えていた

気がつくと歩き出して
妙にざわつく様な
人気の無い黒っぽく変色した家々の
さび付いたような戸の間を
抜けて行くと
緩やかに道は下り
段々と砂利道が細かくなり
黒っぽい砂に変わると
その向こうに音が風を巻き
近づいてくる
湿り気が頬に当たるように
空は曇っているのかいないのか
塩水は濁っているのか
透明なのか
どこまでも薄く
はっきりとはしない青で
境も曖昧でぼんやりとして
寒くも暑くもなく
べっとりと重いように
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