マニ/ねなぎ
 
うに砂が
足に沈んでいく

感覚さえも波でしかない

ふと間だった

気がつくと足元から
流れていくように
滑るような流木や海月を踏みつけて
水を蹴り上げると
足首まで浸かっていた
そのまま塩の痛みを肌に感じて
ぬるいような
なめらかな感覚にひたるように
服の重さが柔らかくなると
首まで沈んでいた
何も考えられず身を任せるように
ただその場の振動と
揺らめきに委ねると
深さも知れずに
もはや足元からの感覚も
区別も付かなくなっていた

状態は波になる

ふと気づいていた

気がつくと岸は消えていた
鼻腔の奥が塩辛さで麻痺し
思考さえも浮遊
[次のページ]
戻る   Point(6)