私が死んでしまったので/若原光彦
 
ってくれないからか
これで孤独になってしまったからか
私が私のように振舞えないからか
わからないまま
わからないから泣いている
泣けば私も死んでしまうとでも思って
私が泣いている
私が死んでしまったので
私はなんて愚かなのだろうと
私も私も私もみんな偉大だったのに
みんなみんな先立ってしまって
私だけが気拙く生きさらばえて
もう私は私を慈しまないだろう
もう私を尊敬しないだろう
私は私に優しくしないだろう
私を認めないだろう
屑のように扱うだろう
心配しないだろう
私は冒涜されるだろう
私は搾取するだろう
どうして私だけが生き残っているのだろう
わからない
[次のページ]
戻る   Point(4)