たまご/水町綜助
 
のテーブルにつっぷして
 のびすぎた前髪の隙間から
 夢の話をし始める
 
「 焼かない
  真綿のような
  羽毛がつくられるまで
  殻の中の翼その先端が
  嘘くさいほど
  精緻に
  わかたれるまで
  胡椒粒を噛み砕くように
  呟く

  殻
  白
  羽毛
  ミルク
  瞳
  黒
  血液は
  赤
  赤は
  歴史を
  沢山の
  ヨコ線を
  溶かす赤
  呼吸に
  沸く赤
  青い温度の
  あたたかい
  血
 
  ぼくを
  ちぎって
  撒けば
  じぐざぐに
  割れる殻(笑)
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