song of the rainforest/rabbitfighter
 
裾が風を捕らえる。瞬間、彼女は躊躇する。いったい自分は今どこにいるんだろう。島じゃない。それはわかる。
 でもその躊躇は長くは続かない。彼女の長い髪はもう、風をうけて舞っている。いや違う。頭を激しく振っているのは彼女自身だ。いつ頃からかは、彼女には思い出せない。雷のようにシンバルを叩く。金属のあげる悲鳴。そしてオーケストラが彼女に従った。

 荒々しくうねる波のような観衆、風に巻かれて絶叫する。もう各々の情熱であるのはやめろ。この暴風雨に逆らう必用はない。彼女は君臨し、統率する。恐るべき女帝、狂える指揮官。彼女はまた思う。いったい自分はどこに来てしまったんだろう。それもまた一瞬のことだ。彼女
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