ナンバーワンとオンリーワン/んなこたーない
ーは文明への罵倒を列挙するが、それがまたいかにも陽気であって、
すくなくとも厭世感は漂っていない。
よく言われるように、かれはソロー、エマソンといった系譜に繋がる、
反アメリカであると同時に熱烈な愛国心を持つアメリカ人である。
ヨーロッパ生活が特にそれを培養したのかもしれない。
また、かれが高い教養を身につけたノンポリである点も重要である。
結局、かれの文明否定は逆説的に現状肯定にしかなりえず、
オーウェル流にいえば「静観主義」の域から抜け出すことは不可能になってしまう。
ミラー自身、経済的、政治的な問題解決というものを信用していない、と公言してはばからないのだから、
何か生まれ
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