いくつかの心象/結城 森士
今にも零れ落ちそうな
いつか思い出となって消えてしまう
感傷や心象や友情などが
かつてこの景色の中に存在していた
感傷の面影、幾人かの少女たちの
声や会話が甦る
かつて、確かに此処に存在していた
今、鮮烈を伴って球体は零れ落ちた
赤、あくまで赤く砕けていった
それは間違いなく存在していた
しかしもうそれを見ることは無い
[紙飛行機]
手から離れ
開放された窓から
青い気流の上へ飛びたった
校庭では数人の少女が鉄棒で遊んでいた
この季節のプールには誰も泳ぐものが居ない
サッカーのゴールでは数人の少年がいちゃついて
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