いくつかの心象/結城 森士
る雨を眺めて
静かに聖歌を鳴らしていた
クライスト
は誰の事なのかも知らなかった
神の雷鳴に畏れながら
聖母の美しさに惹かれ
六月/雷雨/聖堂
非現実的な幻想に酔うことが出来たのは
まだ少年と呼べる時代だったからなのだろう
聖なる母を心に落とす
どんなに美しい感情も
いつか思い出となって
すぐに薄れていく
[崩壊する夕暮れ]
それはあくまで鮮烈な赤
赤、それは潤んでいた
坂道の向こう側は揺らめいていた
風は頬を優しく撫でた
高い建築物が光を反射していた
それはあくまで鮮烈な赤
赤、
球体、
表面張力に支えられ
今
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