火をつくる丘。/鯨 勇魚
 

あたたかさなんて、
やさしさいらない。

亡くしてから、
気がつく事がありながら、
思い出を知りました。

あたしが名前をきちんと覚えた。
数すくない、たいせつ。
白夜の沈まない太陽を、
凍えた大陸に反射させ、
我が身を灯台回転光としたなら、
やっぱりここが居場所って。
自身、引き合うのだもの。
此処には長く居座りたいの。
陽光の下。巡礼の様に、
瓦礫の中で動き始める。
イサナ、あたしの名前です。
融解の中には生命。宿させたの。
だから。苦しい現実。

あたしは、夢へ醒めました。
それも良いでしょう。
秋。の、記憶の喪失した、ふりをした、
部分だけ
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