幸福の外皮/平
した集中によって、自らの外にたゆたう世界をスムーズにシャットダウンできるからだ。
どれだけ自分が醜怪であろうとも、
開ける口、舐める舌、噛む歯、飲み下す喉。
そうして、そのすべてを受け入れる、天上の肉片。
それさえあれば、世界はたったひとつの皿の上に凝集される。
それさえあれば、醜怪さは圧倒的で単純な「幸せ」に、
あっという間に駆逐されていく。
満ちた腹をさすり、
天上の名残を思い返すうちに、
自らを呪う自らの醜さは延々とその鎌首をもたげ始める。
それは「それ/その」という指示代名詞をここまでの短い行数の間に8度も重複してしまうことに裏付けられるほど、傲然とした鎌首
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