読書と恋愛/楢山孝介
 
のかもしれない
犯人は館の主人の息子アルフの双子の弟カルフ
の元恋人エミリーの双子の姉セシリーだ
動機は書き忘れたけど
トリックの解説には六十枚費やしたのに
あとがきは詩で書いたのに

会わなくなってからしばらく経って
別れを告げるメールが君から届いた
「ごめんなさい やっぱり合わない 二人みたい
 私は本より リアルが好きよ」
最後ぐらい僕に合わせようとしてくれたのか
君は短歌を詠んでくれた
だけど想いを詠いすぎてしまいがちな短歌だけは
僕はどうしても苦手で
家には一冊の歌集もなくて
うまく返歌を思いつけなかった
「仕方ない でも楽しかった ありがとう」
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