カタパルト紙飛行機/悠詩
あずさが梢々と啼(な)く
伸びきったゴムに託された紙飛行機
バヒュムと宙を切り裂く
(レミングは地の涯(はて)へと走り出す)
猛々しい風の中に地平線の匂いを掴まえようと
不器用な翼が手を伸ばす
レイノルズ数を整えた青写真に
墜落点は写らない
(次第に群れをなすレミング)
向かい風に進める強さを携える
大地に放り出したカタパルトは
春に芽吹いた瑞々しい草花の
散りゆく朧に霞んでいく
半径数十メートルの天球のなかに
涯(はて)は無限に拓(ひら)かれる
(目を覚ます自殺遺伝子)
百メートル十八秒の波を超え
衝撃波が世界を反転させる
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