カタパルト紙飛行機/悠詩
〇・五グラムの生み出したうしおが
崩れかけた陽の向こうに水平線を為し為せしめ
毀(こぼ)れたアスファルトに膨らむ珊瑚礁は
いまは見るべくもない安楽の幻
(レミングスは海原を目指す)
挫けることを強く願おうとも
水面効果の揚力は「諦め」を許さない
(交錯――変えられない自然の摂理)
堕ちようとしては浮き上がる
機体はいま一度あの陽の上を見据え
(大海原を下に臨み)
翼はよじれた手を伸ばし――
(身を投げ出し――)
うしおに溶けてこの身に戻ってきた
(レミングスはたゆたいのなかに消えた)
空と海とで掴み取った匂いが
赤い涙となり指を伝い地に滴る
草原にかざした手は
向かい風の中に新たな芽吹きを捉えていた
(岩陰のコスモスの種はそっと地に潜り)
指の傷が泣き笑いし
糧となって心に滲みこむ
(花を咲かせるときを待つ)
陽はまた昇る
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