追悼 Joe Zawinul/Dr.Jaco
 
った手
合いの他愛もない言葉が意味なく連なるその、エクスタシーであった。
言うあても無かった、出す機会も失われていた言葉であった。鼓動が共鳴するのを感じた。20歳を
過ぎてしばらく経ったある日のことだったと思う。
ゆっくりゆっくりしたテンポの中で、息せき切って出る言葉の噴水を抱きしめるとき、無性に愛した
い(というのも赤面ものだが)という気分のエクスタシーだった。
そのゆっくりとした抑制気味の曲に美空ひばりにせよ、Joe Zawinulにせよ、彼・彼女の愛を感じら
れたということの幸福感であった。

速い曲には、別の愛があると思う。回転する地球ゴマが作る残像の皮膜のような立て続け
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