追悼 Joe Zawinul/Dr.Jaco
 
続けの音のカー
テンが、逆に私を安らいだ気分にすることもある。しかし速い曲はそこで終わって、私は自分が何も
吐き出していないような気分になることもある。

楽曲が優れているのは前提としても、「ゆっくりなのに速い」曲は演じ手の抑制した愛情がなおも溢
れんとするその境目で、私の横溢する気持ちの堰を切ってしまうのだ。

誰しもそうだと思う訳もないが、私にとっての名曲はそういうものであり、それが私の思う優れた詩
への考えに繋がったのだと思う。

「ゆっくりなのに速い」が私の関心事になった頃、北園克衛は全く都合良く本屋にいた私の手元にや
ってきたのだった。抑制をフルに効かせた短い文節の
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