ぬるい祈り/灯兎
 
降らせた毒の雨は 空を覆うはずの星さえも 黒く染めて
この地に青白い光が注ぐことなど無いのだろうか
では俺が目指すのは何だと言われるのか 
それを唯一知っていたのは 霧に融けた砂時計だけ

月夜の薄墨に溶けだした毒を貪り歩く 赤目のオオカミ
楽器の代わりに片割れの死骸を抱え 黒ずんだ骨を舐め回す

こうも装飾に塗れた世界では 目指すべき光など 
とうに力尽きてしまっている
飼い慣らされた犬は 渇いた愛情を差し出されて 尻尾を振っているのだろう
いや ずっと飢えているのは彼らではないのか

こうも非情に塗れた世界では 口にできる物など 
とうに廃棄済みになっている
喰い
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