落ちない太陽から、逃げる/水町綜助
と行ったことはなかったね
たしか
あのときは
秋か
じゃなかったら冬だったわ
でもどうしてか
真夏に
歩いた気はする
緑地に沿って敷かれた
ちいさな長い道路を
じりじりとするなか
とぼとぼ
てをつないで
ただジュースでも買いに
つめたさとか
水滴とか
汗とか
夜がくることとか
暑さの中にゆらめいたからだで
望んで
全部きりきりしたドロップみたいに固めて
それから奥歯で噛んで
こなごなに砕けるのが綺麗だから
破裂を空想して
だけど壊すのは怖くて
いやだから
手に持ってれば
そりゃあ溶けるわ
べたついて
今日も暑い
お盆には帰省した?
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