雨細工の町/望月 ゆき
 
に座る少女は
やんちゃな子供をつかまえる母親のように
絶妙なスピードで手を出し
サッとそれを掴んでは
何か透明な糸に通している



しばらく歩いて気づいたのだが
ここの人たちは
みな服さえ着ていてるが
その服も体もびしょびしょに濡れてしまっている
どこもかしこも
雨粒が降ったりやんだりなのだから当然だけれど。
しかしそんなことは
誰も気にしてはいない




「レインボーホールの玄関」

小さな屋台を見つけた
威勢のいい高い声に
ひきつけられるように近づく
その屋台には
ネックレスやらブレスレットやらが
ところ狭しと並べられている
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