組詩「風」 /青の詩人
ある雨の日のこと
霞む空気に きみの光を見た
けれど舞い戻ったのは
彼ではなくて 風だった
だけど私 風のように
見えないものを信じたの
見えなくてもさわれなくても
かならずあると信じたの
窓を開ければ優しい風
風吹く丘で きみを待つ
終わらない物語 胸に抱いて
古ぼけた小さな麦藁帽子かぶって
5.風
今日も 空 高く 吹きわたり
あの鳥の 背中を強く 押しているらしい
だけどわたしは それと気づかない
気づかないから 人はそれを
風 と呼んだ
今日も 野原を 駆けまわり
あの木の 葉を優しく 揺らしているらしい
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