3度目の原爆2/円谷一
える
君のマンションは無かった きっと途轍もない威力の爆風に吹き飛ばされてしまったのだろう 君はあの時通学途中だったはずだ ヘリコプターが喧しくやって来る どうせ米軍の偵察機だろう 僕は一応両手を上げて何度も何度も振り続けた しかしヘリは上空を何回か旋回してどこかへ行ってしまった
地下鉄は大混乱だった 全てを探し回っても君はいなかった 日が暮れ 寒々しい夜となった
ちゃんとお金を払って上着を着て夜の東京を歩き始めた 何千万ドルの夜景は何処にも存在しなく 未だに燃え続ける建物などの灯りが果てしなく広がっていた 全身火だるまの女性が僕に目がけて抱き付こうとした 僕は恐怖の声を上げてその場を退けた
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