影踏み/悠詩
男の子が
誰もなにも言わなくても
伴走してゴールを迎えた
+ +
ひろちゃんが影を追いかける
みんなは逃げる
ひろちゃんはなかなか追いつけないけど
泣いたり
逃げたり
しなかった
その声
その拍手が
本当の「遊び」を
教えてくれていたから
朱色は眠り
影はいつしか
世界に溶け込む
手を伸ばしても
目を凝らしても
拾うことは叶わず
でも
わたしたちは
どこに隠れたって
見失えなかった
+ +
自分が影を持っていること
みんな知っていた
たとえ自分の影を忘れて
ひとの影を踏んでも
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